PPAプロが使うパドルって?|同じものを買う前に知っておきたいこと

トップ選手と同じパドルを買えば、自分も上手くなるのか。この記事は、その期待に正直に答えます。
PPAトップ選手の使用パドルを一覧で紹介したうえで、なぜそのまま買うのが最善とは限らないのか、その理由を3つの観点から解説します。
そして最後に、レート帯ごとに自分へ合うパドルをどう選べばいいのかまで整理します。買う前に参考にしてください。
先に結論:プロと同じパドルは、あなたに合うとは限りません
一覧を見る前に、知っておいていただきたい前提が3つあります。ここを押さえておくと、このあとの一覧の見え方が変わります。
- プロのパドルは、プロのスイングスピードと精度を前提に作られている
- 選手はスポンサー契約のもとで使っている。必ずしも「世界で最良の1本」を選んでいるわけではない
- 3.5前後のプレイヤーにとっては、扱いきれずに逆効果になることがある

ピックルボールのパドルはあくまで板であるので、テニスのようにガットに食いつくという感覚はありませんが、僕はもともとソフトテニス出身ということもあり、パドルを選ぶときには、ボールを打つときに『球が乗る』という感覚を非常に大切にしています。
その理由は、やはりこれまで積み上げてきたバックグランドの感覚を活かして、ピックルボールに落とし込むことが強みになると考えているからです。
PPAトップ選手が使っているパドル

男女それぞれのトップ選手が実際に使用しているモデルを一覧にしました。ただし、スポンサー契約やモデルは頻繁に変わります。あくまで一時点のスナップショットとしてご覧ください。
※以下は2026年前半時点の情報です。選手のスポンサー契約やモデルは頻繁に変わるため、参考としてご覧ください。
男子
| 選手 | 使用パドル |
|---|---|
| ベン・ジョンズ | JOOLA Perseus Pro V 16mm |
| ゲイブ・トラディオ | Facolos EliteX Extreme Edition Elongated 16mm |
| クリスチャン・アルション | Paddletek Honeyfoam TKO-X |
| JW・ジョンソン | Paddletek Honeyfoam TKO-X |
| ヘイデン・パトリキン | Franklin C45 Dynasty ヘイデン・パトリキン Edition 16mm |
| アンドレイ・デスク | CRBN1 TruFoam Barrage |
| CJ・クリンガー | Adidas AdiPower Pro EDT 16mm |
| フェデリコ・スタクスラッド | JOOLA Kosmos Pro V 16mm |
| エリック・オンシンス | Engage X2 |
| ディラン・フレイジャー | Volair Shift HYB |
女子
女子世界1位のアンナ・リー・ウォーターズは、2026年1月に長年契約していたPaddletekからFranklinへ移籍し、シグネチャーモデルの「C45 Aurelius」を使用しています。12.7mmのワイドボディ形状で、C45ラインのなかでは最も薄いモデルです。
ブランドの勢力図
2026年前半の大会でメダルを獲得した選手のパドルを見ると、JOOLAとFranklinが大きなシェアを占めています。
とくにJOOLAは50名を超えるプロ選手と契約しており、プロツアーへの投資額では他を圧倒しています。
一方で、Friday、Facolos、Arronaxといった新興ブランドが初めて表彰台に登場するなど、勢力図は動いています。
プロのパドル選びから読み取れる傾向

厚さの傾向、素材の変化、そしてモデルチェンジの速さ。男子選手の使用パドル一覧からは3つの傾向が読み取れます。そして最も重要なのは、プロの中でも選択が分かれているという事実です。順に見ていきます。
厚さは16mm前後が主流
一覧の多くが16mm。厚いパドルはコントロール性が高く、球持ちが良い傾向があります。プロが求めるのは「速く飛ぶこと」以上に「狙った場所に置けること」だと分かります。
一方、女子世界1位のウォーターズ選手は12.7mmという薄いモデルを選んでいます。薄いパドルは反発が強く、操作性が高い傾向にあります。これは、ネット際の速い攻防で先手を取るスタイルに合っているためだと考えられます。
つまり、プロの中でも選択は分かれています。「プロが使っているから正解」という単純な話ではないことが、ここからも分かります。
フォーム系素材の台頭
「TruFoam」「Honeyfoam」といった名称が並ぶように、内部にフォーム素材を使ったパドルが増えています。反発とコントロールの両立を狙った設計です。
モデルチェンジが速い
同じ選手でも、数か月単位で使用モデルが変わることがあります。パドルの技術革新が非常に速い競技だということです。
なぜプロと同じものを買っても上手くならないのか

ここが、この記事でもっとも伝えたい部分です。理由は3つあります。スイングスピードの違い、設計思想の違い、そして多くの人が見落としているスポンサー契約の存在です。順に説明します。
理由1:スイングスピードが違う
パワー系のパドルは、速く振れる人が使ってはじめて性能を発揮します。
スイングが遅い段階でパワー系を使うと、ボールが飛びすぎてコントロールを失うか、逆に「飛ばない」と感じて余計に力んでしまいます。
理由2:ミスを許容しない設計になっている
プロ向けのパドルは、スイートスポットを外したときの反応がシビアなものが少なくありません。狙った場所に当てられる前提の設計だからです。
ショットが安定していない段階では、寛容なパドルのほうが上達は速くなります。
理由3:契約の存在
見落とされがちですが、プロはスポンサー契約のもとでパドルを使っています。
「世界中のパドルを試して、最も良いものを選んだ結果」ではありません。契約先のラインナップのなかから、自分に最も合うものを選んでいるのが実態です。
もちろん契約するのはトップブランドですから性能は高いのですが、「プロが使っている=最良の1本」ではないことは知っておいてください。
レート帯別・パドルの選び方

レート帯ごとに、優先すべきことと避けたいことを整理しました。とくに人数の多い3.5〜4.0の方に向けて、具体的な考え方をお伝えします。
| レート帯 | 優先すべきこと | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 〜3.0 | 軽さと当てやすさ | 重いパドル、高価なモデル |
| 3.0〜3.5 | コントロール寄りのバランス型 | パワー特化モデル |
| 3.5〜4.0 | 自分の弱点を補う方向で選ぶ | 「プロと同じ」だけを理由に選ぶ |
| 4.0〜 | プロモデルが機能し始める | 頻繁な買い替え |
大会に出るなら、承認リストにあるパドルかどうかを必ず確認する。
(未承認のパドルは使用できません)
3.5〜4.0の方へ
このレート帯の方が、最も道具に迷います。伸び悩みを感じ、道具を変えれば突破できるのではと考える時期だからです。
ただ実際には、この帯で必要なのは新しい性能ではなく、今できることの精度です。
パドルを変えるなら、「プロが使っているから」ではなく「自分のどの弱点を補いたいか」から逆算して選びましょう。
【重要】大会に出るなら、承認リストを確認する
これは性能以前の話です。購入してから大会で使えないと分かる事態は、実際に起こり得ます。
公認団体が認めたパドルのリストがあり、そのリストに載っていないパドルは大会で使用できません。
新しいモデルは承認までに時間がかかることがあります。発売直後のパドルを買って大会に持ち込んだら使えなかった、ということが起こり得ます。
大会出場を考えているなら、購入前に承認状況を確認しましょう。
よくある質問
パドル選びについて実際によく寄せられる疑問をまとめました。価格と性能の関係、買い替えの頻度、中古の可否など、購入前に迷いやすい点を中心にしています。
まとめ
最後に、失敗しない選び方の考え方を整理します。
プロのパドルを知ることには意味があります。技術の最先端がどこにあるかが分かるからです。ただし、そのまま買うのが最善とは限りません。
- プロのパドルはプロのスイングを前提にしている
- 選手は契約のもとで使っている
- 自分の弱点から逆算して選ぶのが、いちばん失敗しない
そしてもうひとつ。道具を変える前に、自分のレート帯で本当に必要なことを確認してください。3.5前後で伸び悩んでいるなら、答えはパドルではないかもしれません。



船水雄太(ふねみず ゆうた)
主な実績:日本人初のメジャーリーグピックルボールプレイヤー(MLP選手)。米国プロツアー大会(PPA Tour)のメンズダブルスで日本人初の優勝。
荻原雅斗(おぎわら まさと)
主な実績:ソフトテニスを12年間続け、学生時代に3度の日本一を獲得。現在はカンボジアチーム代表ヘッドコーチとして活動中。