【プロ監修】ピックルボールの握り方|3つのグリップと場面別の使い分けを徹底解説

ピックルボールのパドルは、どう握るのが正解なのか。調べるほど、サイトによって言っていることが違うことに気づくはずです。
先に結論をお伝えすると、迷ったらコンチネンタルグリップです。
この記事では3つの握り方を場面別の使い分けまで整理したうえで、他競技経験者がやりがちなクセ、そしてほとんど語られていない「握る強さ」まで解説します。
結論|迷ったらコンチネンタルグリップ

ピックルボールで握り方に迷ったら、コンチネンタルグリップを選んでください。日本では「包丁握り」と呼ばれることもある握り方です。
理由はシンプルです。ピックルボールは、キッチンライン際の速い攻防で握り替える時間がないからです。
コンチネンタルはフォアとバックの中立に近い面を作れるため、握り替えなしで両方に対応できます。これが、コート幅が狭く、ネット際の攻防が中心になるこの競技で決定的に効いてきます。
ただし、「常にコンチネンタルだけ」という意味ではありません。場面によって使い分けたほうがいいショットもあります。以下で順に整理します。
なぜ、解説記事によって「おすすめ」が違うのか
握り方を調べていると、サイトによって勧めている握りが違うことに気づきます。どちらも間違っていません。前提が違うだけです。
| 勧めている握り | その記事が想定している場面 |
|---|---|
| イースタン | まずフォアハンドを安定させたい。ボールを打つ感覚を掴む段階 |
| コンチネンタル | ネット際の攻防に入っていく段階。握り替えの時間がない |
つまり、「どの段階で、どのショットを軸にするか」で答えが変わります。
この記事の立場
ピックルボールという競技の構造上、最終的にコンチネンタルは必ず必要になります。
ラリーの主戦場はキッチンライン際です。そこではディンクとボレーが中心になり、握り替えている時間はありません。
一方で、始めたばかりで「まずボールを前に飛ばしたい」という段階なら、イースタンのほうが感覚を掴みやすいのも事実です。
最初はイースタンでも構わない。ただし、キッチン際で戦うようになったらコンチネンタルへ移行する。
3つの握り方と、得意なショット
握り方は、文章と静止画だけでは伝わりにくい部分です。
まず監修者本人の解説映像で、3つの握りを実際に見てください。そのうえで、それぞれの得意・不得意を整理します。

呼び方について
動画内と本記事では、グリップの呼称が一部異なります。指している握り自体は同じものです。本記事では、テニス・ソフトテニス経験者に馴染みのある一般的な呼称に統一しています。
コンチネンタルグリップ

握り方:親指と人差し指の間にできるV字が、パドルの柄の真上に来るように握ります。包丁を持つときの形に近い握りです。
| 得意 | ディンク、ボレー、サードショットドロップ、スライス |
| 苦手 | 強いトップスピン。フォアで面が開きやすい |
| 向いている人 | ダブルス中心の人、ネット際の攻防を戦う人 |
ピックルボールでもっとも使用頻度が高い握りです。迷ったらここから始めて問題ありません。
イースタングリップ

握り方:パドルと握手をするように持ちます。手のひらがネット方向を向く形です。
| 得意 | フォアハンドのドライブ、サーブ、リターン |
| 苦手 | バックハンドへの切り替え。握り替えが必要になる |
| 向いている人 | 始めたばかりの人、フォアで攻めたい人 |
パドルの後ろからボールを押し出しやすいため、深さを出したいショットに向いています。
セミウェスタン/ウェスタングリップ

握り方:さらに厚く、パドル面を下向きに被せるように握ります。
| 得意 | 強いトップスピン |
| 苦手 | ボレー、ディンク。面が下を向いてネットにかかりやすい |
| 向いている人 | 上級者。スピンを武器にする人 |
初中級者にはおすすめしません。
ピックルボールはネット際のプレーが多く、面が下を向く握りは不利に働く場面が多いためです。
場面別・どの握りを使うか

実際の試合で、どの場面にどの握りを使うかを一覧にしました。すべてを覚える必要はありません。
| 場面 | おすすめの握り | 理由 |
|---|---|---|
| ディンク(ネット際) | コンチネンタル | 面が中立。切り替えが速い |
| ボレー | コンチネンタル | 握り替える時間がない |
| サードショットドロップ | コンチネンタル | 面を上に向けて柔らかく運ぶ |
| フォアのドライブ | イースタン | 後ろから押し出せる |
| サーブ・リターン | イースタン | 深さを出しやすい |
| 強いトップスピン | セミウェスタン | 上級者向け |
まずは「ネット際はコンチネンタル、後ろから打つときはイースタン」の2つだけで十分です。
【独自】他競技経験者がやりがちなクセ

日本のピックルボールプレイヤーは、他競技からの転向者が大半です。前の競技で身につけた握りをそのまま持ち込むと、うまくいかない場面が出てきます。
| 前競技 | 持ち込みやすいクセ | 何が起きるか | 直し方の方向 |
|---|---|---|---|
| テニス | 厚めの握り(セミウェスタン寄り) | ディンクで面が下を向き、ネットにかかる | 薄めに握り直す |
| ソフトテニス | ウェスタン寄りの握り | ボレーとバックハンドで対応できない | コンチネンタルへ移行 |
| バドミントン | 手首を使いすぎる | 面が安定せず、球が散る | 面の固定を優先する |
| 卓球 | 短く持ちすぎる | リーチが足りず、深い球に届かない | グリップエンドまで使う |
ソフトテニス経験者はとくに注意
ソフトテニスは、ウェスタングリップが基本の競技です。そのままピックルボールに持ち込むと、ネット際でまったく機能しません。
面が下を向いた状態でディンクを打とうとすると、ボールが上がらずネットにかかります。「柔らかく打っているのにネットする」という人は、まず握りを疑ってください。

卓球出身の方やバドミントン出身の方など、いろいろな競技から入ってきています。
今はこの3つが基本ですけども、正解はありません。まずは自分のバックグラウンドや持ちやすさを試してみてほしいです。
見落とされがちな「握る強さ」

握り方と同じくらい重要なのに、ほとんど語られていないのが「どのくらいの強さで握るか」です。ここを変えるだけで、ショットの質が変わります。
力むと、ボールは浮く
ディンクで球が浮いて叩かれる。この現象の原因の多くは、握りが強すぎることです。
強く握るとパドルの面が固まり、ボールの勢いを吸収できません。結果として弾き返してしまい、球が浮きます。
ネット際では、握りを緩めてください。「落とさない程度」で十分です。
逆に、強く握る場面もある
一方、相手の速い球をブロックする場面では、緩すぎると面が負けます。ここは握りを締めます。
| 場面 | 握る強さ |
|---|---|
| ディンク | 緩く(10段階で3〜4) |
| ドライブ | しっかり(6〜7) |
| ブロック・カウンター | 締める(7〜8) |
握りの強さを場面で変える。これができるようになると、ショットの質が変わります。
人差し指を使うテクニック
ドロップやブロックのとき、人差し指をパドルの背面に沿わせると、テコが効いて面の操作性が上がります。繊細なタッチが必要な場面で試してみてください。
握りが原因で起きているミス3つ

「フォームは悪くないのに安定しない」という場合、握りが原因のことがあります。当てはまるものがないか確認してください。
握りが厚すぎる(面が下向き)可能性があります。コンチネンタルに近づけてみてください。
握り替えをしている可能性があります。ネット際でフォアとバックを握り替えていると、確実に間に合いません。コンチネンタルで固定してください。
握りが薄すぎる(面が上向き)可能性があります。後ろから打つショットは、イースタン寄りに変えると改善することがあります。
グリップは変えるべきか、変えないべきか
すでに安定しているなら、無理に変える必要はありません。握りを変えると、慣れるまで一時的に調子が落ちます。試合が近い時期の変更はおすすめしません。
握りは目的ではなく手段です。結果が出ているなら、それが正解です。
よくある質問
握り方について実際によく寄せられる疑問をまとめました。ルールの有無、グリップサイズ、両手打ちの可否など、迷いやすい点を中心にしています。
まとめ
ここまでの内容を、取り組む順番で整理します。
握りが変わると、同じフォームでもボールの飛び方が変わります。まずはネット際だけコンチネンタルにしてみるところから試してみてください。



船水雄太(ふねみず ゆうた)
主な実績:日本人初のメジャーリーグピックルボールプレイヤー(MLP選手)。米国プロツアー大会(PPA Tour)のメンズダブルスで日本人初の優勝。
荻原雅斗(おぎわら まさと)
主な実績:ソフトテニスを12年間続け、学生時代に3度の日本一を獲得。現在はカンボジアチーム代表ヘッドコーチとして活動中。